サクラ……?

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 あれから幾日か経った。 私はサクラがいる部屋の扉まで行き、そこが閉まっているのを確認して溜息をつく。 それが最近の日課だった。  その日課が崩れた。 ……扉が開いてる。 私は部屋に飛び込んだ。 サクラ!? いる。 寝ている。 ああ、良かった。ちゃんといたのね。 安堵した私はサクラに近寄った。 「……あら? なによサクラ。綺麗なお花と一緒に寝てるのね。これどうしたの?」 サクラは答えなかった。 まあ、寝ているのだから当たり前なのだけれど。 「それにしてもあなた、大分痩せてしまったわね……、ご飯食べていたのかしら?」 サクラは答えない。 「あなたが起きるまで、私も一緒に寝てもいいかしら? ……まあ、聞こえていないわよね」 私はサクラに寄り添い、横になった。 サクラは恐ろしいほどに冷たく、無機物のように硬かった。 「はぁ……。あなたずーっと横になっていたから体がカチコチじゃない」 「まあでも。これからはまた一緒に寝れるわね」 私はずっとサクラに話しかけていた。 ……ねえ、サクラ。 "あの景色"が見れる季節が近づいてきたわよ。 そうよ、あなたが窓から眺めていた景色。 また一緒に見ましょうよ。 何をするわけでもなく、ぼーっと一緒に眺めるの。 あの時間は、なかなか良かったわ。 退屈だけど、退屈じゃない。そんな時間。 ……ねえ、サクラ。ねえ。 ……? ……???
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