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恋愛指南役・中川里歩
その日の夜,唯は自宅マンションの自室のTVで,ポテチをパリポリやりながら『ドラゴン・アタッカー』のDVDを観ていた。
でも,浩介さんのことが頭をチラついて,内容が全然入ってこないよう。…あ,ダジャレ出た。じゃなくて。
「うぅーーん…。ユースケ君バイバイっ!」
唯は観賞を諦め,リモコンでDVDをストップさせた。ついでに,TVの電源も切る。
唯の自宅は,恵比寿の一画に建つ十階建て賃貸マンションの六階にある。
彼女はここで,弁護士の父とパート主婦の母,そして三歳上の兄との四人家族で暮らしているのだ。
…それはさておき。
「おーい,唯。風呂あいたぞー」
部屋の引き戸がガラッと開けられ,兄の俊也がバスタオルで髪を拭きながら顔を覗かせた。
タンクトップにジャージ姿で,体から湯気をホカホカさせている。
お兄ちゃん,あーたはEXILEか。…唯は心の中でツッコんだ。
いや,年代的にはGENERATIONSだろうか。ちょっと貧弱だけど。
「んもー,お兄ちゃん!ノックぐらいしなよねっ!」
「あー,わりわり。それよかお前,彼氏できたってマジ?」
唯が抗議すると,俊也はそれをサラリとスルーして妹に訊いた。
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