恋愛指南役・中川里歩

2/6
前へ
/26ページ
次へ
「それよか」って何だ,「それよか」って。 「ほぇっ?なんで知ってるの??」 「おフクロに聞いた」 「おかーさぁん…」 唯はボヤいた。いくら家族でも,この人にだけは言ってほしくなかったよぉ。 ところが兄は,からかうどころか真顔でこう言った。 「お前さぁ,三次元で恋愛なんかできんの?」 「へっ?なんでよ?」 「現実のオトコっつーのは,野獣とおんなじだ。本能むき出しで来るかんな」 そう言うと,俊也はあまりボリュームのない唯のおムネを見た。 「…まぁ,お前にゃそんな心配はねえか」 「ちょっとぉ!どこ見て言っとるんじゃい!」 唯は吠えた。兄の言う「本能」のイミするところは,同人誌その他で分かってるっつーの。 「お兄ちゃん,それセクハラ」 「はいはい。まぁ,食われねーように気をつけな。オヤスミ」 ふくれっ面をした唯の髪を(この時は下ろしていた)ワシャワシャやって,兄は自分の部屋に戻って言った。 確かにわたし,色気はないけどさ。フンッ! 「あっ!お風呂おフロ」 唯は着替えを用意して,バスルームに向かった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加