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…数日後のお昼休み。
「はー,お腹すいたぁ。…あり?」
四限目の芸術選択授業が終わって,教室に戻ってきた唯は,目を丸くした。
絢乃さんがいない。三限目まではいたはずだけど。
親友同士の絢乃と中川里歩は,仲良く音楽を選択しているはずだ。唯はもちろん美術だけれど。
唯がお弁当を出していると,里歩が声をかけてきた。
「唯ちゃん,一緒にお昼食べない?」
「うん,いいけど。今日は絢乃さん,一緒じゃないの?」
唯が訊くと,里歩は唯の隣りの席に座って言った。
「絢乃は,四限の途中で早退したよ。今日は午後から株主総会だってさ。さっき,秘書の人が車で迎えに来てた」
「ほぇー…」
やっぱし,絢乃さんって別の世界の人だなぁ。
「株主総会」なんて,唯はニュースでした見たことないからピンと来ない。
「中川さん」
お弁当を広げながら唯が呼びかけると,里歩は笑った。
「里歩でいいよ。同級生なんだからさ」
「んじゃ,里歩タン。絢乃さんの秘書さんってどんな人?」
「若くて,背が高くてイケメン。あとねぇ,絢乃の彼氏。…あ」
言ってしまってから,里歩はヤベっ,という顔をした。
「このこと,オフレコにって絢乃に言われてたんだった…」
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