恋愛指南役・中川里歩

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…と。 ブーン,ブーン…。唯のブレザーのポケットで,スマホが振動した。このバイブのパターンは,電話の設定だ。 「あっ,浩介クンからだ♪」 「よかったじゃん。出たら?」 里歩に促され,里歩は通話ボタンをタップした。 「もしもし,浩介クン?なんで連絡くれなかったのぉ?」 『唯ちゃん,いつからオレは「クン」になったの?』 浩介の声は,半ば呆れているようだ。唯は「ハハハ」と笑うしかなかった。 『…まあいいや。なかなか連絡できなくてゴメン。レポートの提出期限が迫っててさ。忙しくて』 唯は別に,怒っていたわけではない。だから,謝ってくれただけで,何だか申し訳ない気持ちになる。 『唯ちゃん,今日って時間ある?放課後デートしない?』 「うん,しよしよ!部活は自由参加だし,浩介クンのお誘いなら喜んで♪」 彼との待ち合わせ時間と場所を決めて,唯は電話を切った。 「里歩タン,ありがとね☆連絡待ってた甲斐があったよ~♪」 「いえいえ,どういたしまして」 唯のあまりの喜びように,里歩は声にこそ出さないがこう思った。 今の唯ちゃんって,シッポ振って喜んでるワンコみたい。 そうしている間に,お昼休み終了のチャイムが鳴った。
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