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今日の絢乃さんは,いつもに増してキラキラしてる。なんていうか,幸せオーラでいっぱいだ。
「貴方も?…あっ,里歩から聞いたの。唯さんに彼氏ができたって」
絢乃は,言ってからバツの悪そうな顔をした。
別にわたし,気にしてないよ。幸せだし。
「うん☆彼は今,ジュース買いに行ってくれてるんだ。絢乃さん,すれ違わなかった?」
唯に訊かれ,絢乃は「あぁ,あの人が」と頷く。
「里歩タンにはこないだ,恋の相談に乗ってもらったんだよ」
唯は,絢乃に気軽に話しかけた。普段は「近寄りがたい別次元の人だ」と思っていた相手なのに。
今はお互い,彼氏を待っている者同士だ。短い時間かもしれないけれど。
「そうなの?…ねぇ唯さん,恋をしてると不安になるよね」
「ほぇっ?…あー,そだね」
「わたしも,そうだったから」
唯は目を丸くした。いつも堂々としている彼女の,意外な素顔が見えた気がして。
「わたし,今の彼とは初恋だったから。両想いになった時は,すごく嬉しかった」
初耳だった。里歩からは,そんなハナシは出ていない。
「絢乃さん,幸せそうだね」
「ええ,とっても。唯さん,貴方もね」
唯は照れ臭くて,エヘヘっと笑った。
そこへ,キチッとした格好の真面目そうな青年がやって来た。わざわざ唯に会釈してくれる。
「絢乃さん,ここでしたか。…近くのコインパーキングに車,停めて来ました」
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