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「貢クン,ありがとう。ご苦労さま」
絢乃は微笑んで,彼を労う。
背が高くてイケメン。ナルホド,この人が絢乃さんの彼氏さんか。確か,秘書さんだっていう。
「じゃあまた,学校で会いましょうね」
唯にそう言って,絢乃は彼氏と腕を組んで歩いて行った。
「唯ちゃん,お待たせ」
絢乃達カップルと入れ違いに,唯のジュースと自分の缶コーヒーを持った浩介が戻ってきた。
「今,篠沢絢乃とすれ違ったよ。一緒にいたの,彼氏かな?」
「うん,そうらしいよ。ラブラブで羨ましいなー」
そう言いながら,唯は浩介を上目遣いでジーッと見つめる。
「なに?その,何かを訴える子犬みたいな目は」
「わたし達も,ラブラブしたいなー」
なんちゃって,と言って,唯は受け取った缶ジュースのプルタブを開けた。
グビッと半分くらい飲んで,唯はまたボソッと言った。
「いきなりチューして,なんて言わないけどさ。腕組むだけでもいいんだけどなー」
「…ゲホッ」
浩介は飲んでいた缶コーヒーでむせて,目を白黒させる。
「……,まあ,腕組むくらいならいいけど」
むせたからなのか,照れているからなのか,浩介は真っ赤な顔で言った。
やったー!唯の恋,一歩前進だ☆
「あっ,そろそろ映画のチケット買わないと。行こっか,唯ちゃん」
唯が頷き,浩介は唯の腕を取って歩き出した。
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