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…数時間後。
「あー,映画面白かったねぇ」
映画館から出てきた唯と浩介は,そのままシネコンの入っているショッピングモールの中を歩いていた。
「あっ!浩介クンごめん!ちょっとおトイレ行ってくる!」
シネコンのトイレは混んでいたので,唯は偶然見つけた手近なトイレに駆け込む。
唯が浩介の元に戻ると,彼は同世代の青年二人と話し込んでいた。
浩介クンのお友達かな?なんかガラ悪そうだけど。
「…えっ?お前のカノジョ,腐女子なの!?」
そのうちの一人の言葉で,唯の足がピタッと止まる。
浩介も,「そうだけど」と普通に答えている。
「じゃあ,アタマ腐ってんじゃねぇの?大丈夫かよ,そのオンナ」
「アタマ,腐ってませんよっ!」
唯は,我も忘れて吠えた。唯をディスっていた浩介の友人がひく。
「腐女子の『腐』は,お豆腐の『腐』なんですっ!お豆腐は腐ってるんですか!?」
これには,浩介もうろたえた。
「唯ちゃん,もういいから。行こう。…じゃあな」
浩介は唯の腕を取り,友人達に背中を向けて早足で歩き出した。
唯は顔から火が出そうで,同時にこの浩介という人が分からなくなってしまった…。
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