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腐女子でも,恋していいですか?
その日の放課後,唯は久しぶりに部活に参加した。
やっぱし,わたしは腐女子だ。ここが一番落ち着く。
「唯タン,『ドラゴン・アタッカー』のレンタル落ちDVDが手に入ったんだ。一緒に観よ☆」
ヲタ友が誘う。唯は迷った。
『ドラアタ』を観たら,イヤでも浩介クンのこと思い出しちゃうじゃんか。ユースケ君にそっくりな,あの人を。
あれ?なんで思い出したくないんだろ?好きなはずなのに。
「…やっぱいい。今日は帰る」
BLコミックを読んでいた唯は,迷った挙げ句,帰ることにした。
今日は曇っていて,なんだかジメジメしている。もうすぐ雨が降るかもしれない。
駅前まで来て,唯はピタッと足を止めた。
浩介がいる。二日前の友人達と,何やら話している。大きな声で話しているので,離れていても声だけは聞こえてくる。
「…浩介さぁ。こないだの電波オンナとまだ付き合うつもりか?」
「さっさと別れろよ。お前までおかしくなるぞ」
…一体,ナニ言ってんのこの人達?「電波オンナ」って,唯のこと?
浩介は何も言わない。少し怒ってはいるようだが,唯は離れた場所にいるため,表情までは分からない。
唯はだんだん腹が立ってきた。
「浩介クン,なんで言い返さないんだよ…」
本当に唯のことが好きならば,何か反論してもいいはずだ。
電車に乗らないと帰れないため,唯は駅に向かって大股でまた歩き始めた。
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