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兄からスマホを受け取り,唯も着信とメールをチェックする。
うわ…,全部浩介クンからじゃん。
しかも,さっき鳴っていた着信音も止んでいたので,電話着信が一件増えていた。
と…。
プルルル…♪まただ。
「あーもー,しつこいっ!」
唯は通話ボタンではなく,拒否ボタンをタップした。
「おまっ,何してんだよ!?出ねぇのかよ?」
「拒否った」
唯は怒っているようでもあり,何だか悲しそうでもある。
妹の様子がおかしいことに気づいた俊也は,思いついたことを訊いてみた
地雷パート2になるかもしれないけれど,恐る恐る。
「彼氏とケンカでもしたのか?」
その途端,唯は大きな声で泣き出した。
「お兄ちゃん…,唯はどうしたらいいか分かんないよ…っ!浩介クンのこと…,キライになりたくないのに…っ。腹が立って仕方ないんだよ~っ」
「わっ,分かったから!とりあえず泣くのやめろ,なっ?」
俊也がBOXティッシュを渡すと,唯は五枚ほど引っ張り出して鼻をズビズビかんでから言った。
「…ありがと。あのね,わたし,浩介クンと別れようかと思って。これ以上,迷惑かけたくないから」
唯の言葉を聞いて,兄は笑った。「バーカ!」と,妹の頭をポンと叩く。
「お前,自覚ないのな。一人のオトコのために泣いたり腹立てたり。それってさぁ,そいつのこと本気で好きな証拠じゃん」
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