27、告白

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「そんなに嬉しいの?」 「そりゃ嬉しいですよ。ようやくスタートラインにたてましたから」  喜ぶ椎名の笑顔につられて、沙和も力の抜けた笑みをこぼした。それを見て椎名の顔がまたほころぶ。 「望月さんの笑った顔、俺好きですよ」 「あ……ありがと……」  直球で褒められて、沙和は顔に熱が集まってきた。椎名は軽く言っているが、その言葉には妙な熱量があるから、しっとりと沙和の心に染み入っていく。   (困ったな……)  椎名にこれからどう接していけばいいのか分からなくなりそうだ。  少し冷静になるためにも「とりあえず布団出すから」と沙和はクローゼットを開けた。椎名には客用布団を使ってもらう。絶対だ。妙な決意をかためて、沙和は椎名の返事を待たずして布団袋を出した。 「俺、ソファでいいですよ」 「そんなわけにもいかないよ」  ローテーブルを動かすのを手伝ってもらってスペースを作ると、沙和は敷布団を広げた。久しぶりに出すから少し湿気っぽいが背に腹は変えられない。クッションとブランケットを渡して、とりあえず横になってもらう。  そうしてから電気を消して、沙和もベッドに潜った。 「……消灯早くないですか?」  一応沙和にしたがって布団に寝転がった椎名が言ってくる。 「いいの。今日疲れたでしょ?」 「俺まだ眠くないですー」 「私眠いの。おやすみ」 「望月さんてばー……」  椎名の後引く声を振り切るように、沙和はタオルケットをかぶって彼に背を向けた。 「望月さん。望月さーん」  椎名は軽い調子で話しかけてくる。沙和がまだ眠らないと確信しているようだ。  それは当たっていて、確かに沙和も妙に目が冴えている。体も心も疲れているのがわかるのに、脳が眠れと信号を出してこない。 「……もう少し俺、話してもいいですか?」  椎名の声音が真面目なものに変わった。沙和は少し迷ったけれど、のっそりと寝返りを打って椎名の方に体を向ける。彼はうつぶせになって肘で上半身を起こすと、暗がりの中で沙和と目を合わせてきた。 「どうしたら、俺のこと好きになってくれますか?」
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