27、告白

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「なっ……何急に」 「もし何か好みがあったら教えてくださいね」  できそうなことだったら善処しますからと椎名は笑う。  彼なりの冗談なのか、本心なのか、全く読めない。 「……そんなこと言われたってわかんないよ。別に好みとか考えたことないし、それを椎名君に押し付ける気もないし」 「ですよね。望月さんならそう言うと思ってました」  のそりと椎名が起き上がり、ベッドの下で正座をするとパンっと手を合わせた。 「キスしたいんですけど、許可をください」 「はあ!?」  唐突な申し出に沙和は心底驚いた。 「なんで急に!?」 「俺考えたんですよ。これまで俺って、望月さんにとってただの後輩じゃないですか。そこからいきなり異性として見てもらうには、ちょっと荒療治が必要なんじゃないかって思って」 「いや、別にちゃんと異性として認識してた……」 「小動物とか言ってたのはどこの誰ですか」 「うっ……いやでも、もうほら、椎名君の気持ち聞いたし……確実に見る目は変わってるから安心して……」 「それだけじゃ弱いんです。もう一手が欲しいです」  キスだけですから! それ以上のことはしませんから!!  重ねて懇願されたが、沙和は「いやいや、しないから」と断りを入れる。  椎名は拗ねた顔で「なんでダメなんですかー」と不満そうだ。 「別にキスしたからって付き合えると思ったりしません。でも、どうも望月さんは俺を男扱いしてない気がするから、そのへんの認識を改めたいんですよね」 「何その理論。大丈夫! 男として認識してる! 今した!」 「じゃあもっとしてください」  何か日本語おかしくない!?  沙和がいくらダメだと言っても、椎名が珍しく引かない。お願いしますの一辺倒で、頑ななのだ。  だんだん言い合っているのも疲れてきて、沙和は「もう……仕方ないな」と折れた。 「やっぱり望月さんて、流されやすい……」  椎名が嬉しそうに呟くから「だって椎名君がしつこいから! そんなこと言うならやっぱりしない!」と沙和はむくれる。こういう時に相手をしすぎるからいけないのか、とようやく分かって、沙和は再び横になろうとした。    が、椎名がすばやくベッドに乗り上げてきて、沙和の手首をつかむ。 「もう撤回はききません」  言いながら微笑んで、すばやく唇を合わせてくる。弾力のある柔らかい唇だった。
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