27、告白

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 そっと頬をなでる手つきは淫猥で、唇を舐める仕草は艶やかで、沙和の頭の芯を熱で溶かしていく。椎名が微笑みながら顔を寄せてくるのを沙和はぼうっと見つめた。頬に柔らかい感触がしてから、それが少しずつ移動して耳へとやってくる。そっと舌が触れた後には執拗になめられて、ついに沙和は甲高い声をあげた。 (やだ……!!)  慌てて両手で口を覆っても遅い。うっそりと椎名は微笑んだまま「望月さんのそういう声、初めて聞きました」と強く沙和を抱きしめた。  胸にも下半身にも、手は触れられていない。  なのにそこかしこが熱い。  そして、椎名自身もそれは同じだとわかる。押し付けられるかたいものが衣服ごしにその熱を主張してくる。 「椎名君……」  もうやめてと理性が言って、もっとしてと欲望が言う。  そして実際には何も発することのできない沙和に、椎名は「……大丈夫です。約束は守りますから」と存外落ち着いた声で囁いた。 「でももう少し……もう少しで、いいですから」  まるで懺悔のように繰り返しながら、椎名は沙和の顔のいたるところに口づけを降らせていった。くすぐったく柔らかく、彼からの愛情がそこから流れ込んでくる。そんな錯覚すら覚えるほどに、椎名は優しく執拗だった。
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