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沙和と壮太の関係は、説明するのが少々難しい。
実家が近所で、親同士が友人関係。幼稚園から一緒の腐れ縁。高校と大学は別々のところへ進学したが細々と連絡は取り合って、一年に一回ほど近況報告も兼ねて会うような関係が続いていた。
ただ、数年前に沙和が一人暮らしを始めてから、壮太が沙和の部屋に押しかけてくるようになった。
恋人ではない。
とは言え、気まぐれでセックスはするので、友人とも言い難い。
セフレと言うには近く、気のおけない友人のような、親友のような、不思議な関係だった。
「あー本当に、惜しいことした……」
シャワーで体も頭もスッキリして出てくると、壮太が気をきかせてホットミルクを作ってくれていた。一応彼なりに沙和を気遣っているようで、はちみつ入りのそれはとても甘く美味しい。
ソファに腰掛けホットミルクをおとなしくすする沙和の肩を、壮太はそっと抱き寄せる。
「……おさわり禁止」
「いいじゃん、これくらい」
壮太は笑いながら、ぎゅうと力をこめてくる。
「なんで急に相原が来るなんて話になったの?」
「ゲームの話してたら、見たいって言われて……」
「……何その下手な誘い文句」
「下心はないって言ってた」
「どうだか」
「えー、そうかな? 男目線だとそんな感じなの? じゃあ、やっぱり惜しいことした……」
連絡くれるかなぁと息をつく沙和に、壮太は「何その乙女発言。似合わなすぎ」と吹き出した。なんて失礼な! と沙和が抗議しようと顔を向けたところを狙って、壮太が唇を合わせてくる。
衝撃で、ミルクが少しだけこぼれた。
「んっ……ちょ……」
壮太は沙和の手からマグカップをとってローテーブルに置くと、両手で沙和の頬を挟み込んだ。
「じゃあ今日は俺を相原の代わりにするなんてどう?」
言いながら深い口づけを仕掛けて来る壮太に、沙和は胸を押して離れようとした。が、壮太はおかまいなしに唇の中に舌をつっこんでくる。咥内をかきまわされて、上ずった声をあげながらも、沙和は壮太の胸を叩いた。
「だっ……だめっ」
「えー、なんで? 今日はお互い人肌恋しい身だし、良くない?」
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