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小さく舌打ちをした後で、相原はソファに戻り家主の帰りを待った。
彼女は相原が部屋にいることを知って、どんな顔をするだろう。
相原の断罪に、どのような言い訳をするだろう。
いつのまにか握りしめた拳を、相原は無機質な表情で眺めた。
いまだ、震えている。
「バカなことを……」
相原は低くつぶやき、拳を一度ソファの座面にめりこませた。鈍い音とともにスプリングが軋む。
ほとんど拳に衝撃はなかったが、震えは止まっていた。やるべきことは一つと、心が決まったからかもしれない。
努力と才能で手に入らないのならば、他に手を考えるだけだ。これまで相原はずっとそうしてきた。そして、ずっと勝ち続けてきたのだ。
(正攻法で手に入らないならば、力でねじ伏せればいい)
指先に血が巡る感覚とともに、相原の心が研ぎ澄まされていく。
それからすぐに、玄関のドアの開く音がした。
◆
いくら指を湿らせたと言っても、まだ沙和の中に潤いは足りない。けれど、相原が執拗に内壁を探っていると、次第に沙和の頬も紅潮してきた。もう抵抗する気持ちは消えたようで、相原のされるがままだ。
「少しずつ濡れてきたね」
「やだ……痛い……」
「もうそれは通用しない」
胸の尖りのまわりを、空いている方の手でそっと円を描くように撫でると「やぁっ……!」と沙和は跳ねた声をあげた。それに気を良くした相原は、顔を近づけて指先の動きをなぞるように、沙和の胸に舌を這わせる。そうして頂を舌でつつくと、十分に主張していたそこは小さく震え、一拍遅れて沙和の声も響いた。
「あいはらっ……」
「声を我慢するとつらいんじゃないか?」
丹念に乳頭を愛撫していると、呼応するように沙和の膣の中も収縮をする。それは沙和のあげる声と共に、相原に彼女の快感を伝えてきた。
「別に俺は望月を痛めつけたいわけじゃない」
「うそ……つきっ……」
「それはそっちだろう」
ぐっと力をこめて指を深く押し込めると、沙和は喉を詰まらせた。びくっと体が一度しなり、急に中の潤いが増す。一方で相原自身も、自分の下半身に血が募っていくのを感じた。
「望月……」
相原が顔をあげると、沙和は目一杯に涙をためて彼を見返した。あふれた涙が目尻にこぼれて伝う。
その涙がとても愛しく思えて、相原は迷わず顔を寄せて沙和の涙をなめとった。
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