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塩辛いが、どういうわけかとても甘く感じる。既に乾いた涙の痕をたどるように、相原は沙和の頬から目尻をなめていく。
「好きだよ」
言いながら口づけを落とす。
「望月も、俺が好きだろう?」
ぎゅっと沙和の膣が締まった。相原は、それを彼女からの答えにした。
「嬉しいよ」
這い上がる喜びのお礼にと、相原は指をもう一本沙和の中へと埋めた。もうすっかり濡れている。指をくの字に曲げてみたり、少し強めに擦ってみたり、色々な動きを試してみたが、そのたびにいちいち沙和は良い反応を見せた。
気づけば彼女の膣からは愛液が溢れている。
「あっ……はぁっ……あい……はら……」
再び目尻に涙を浮かべながら、沙和は「ほどいて……っ……手……お願いっ……!」と先ほどとは違うことを願った。彼女の手首はいまだにネクタイに縛られたままで頭上にある。確かにもう抵抗はしないだろうし、相原としてもどちらでも良かった。
ただ、顔を真っ赤にして目を潤ませている沙和を見つめているうちに、途方もない恍惚感が湧き上がって来て、相原は結局首を横にふった。
「二回目になったらとってあげるよ」
「な……」
「お前を俺の自由にしていると思うと、気持ちがいいんだ」
もう二度とあの男を思い出すことのないように、沙和の全てを支配したい。
初めての欲望に、嫌悪も戸惑いもなかった。
むしろずっとどこかで抱えていたものだとすら思った。
「な……にそれ……」
呆然としている沙和に「ああ、でも誤解しないで欲しい」と相原は微笑みかける。これまでずっと入れっぱなしだった指を抜いて、その味を確かめてから「俺の愛は、本物だ」と彼女の耳元で囁いた。
沙和は、この期に及んでまだ信じられないと言いたそうな様子だったが、相原が衣服を脱ぎ始めるのを見て、いよいよだとわかったのか一度だけ目を泳がせた。
「相原……」
「うん?」
「……つけてくれる?」
何を、とは聞かなくても分かる。避妊具のことだろう。
もちろん装着するつもりだった。あんなことになるまでは。
「……さて、どうしようか」
からかうように言うと、沙和は「つけて……お願いだから……!」と必死な様子で反応した。
なんて面白いんだろうか。
相原は笑いたくなった。事実、少しだけ吹き出しもした。
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