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昔から男の子に不自由したことがなかった。
年頃になってからは『好きだ』と告白をされて付き合ってばかりいた。
自分が誰かを好きになる前に好きになってくれた人がいたからわざわざ探す必要がなかった。
例えすぐにフラれてもすぐ次の人が来た。
絶え間なく続くそんな関係に私は胡坐をかいていたのかも知れない。
段々歳を取って来て、以前よりも傍にいてくれる人が少なくなって来たことが無性に怖いと感じるようになった。
いつになったら私はたったひとりの人と幸せになれるのだろうかと。
ようやくそんなことを考えるようになった。
「あなたのことが好きだから、だからあなたのことを好きになってもいい権利をください!」
「……」
ふたりきりの店内に必死の告白が続く。勿論、こんなことは初めてだった。
私が──私の方が必死に求めるような恋は初めてだった。
どうやって告白すれば上手く行くのなんて知らなくて、ただ思ったことを必死に口に出していた。
「……あの」
モップを持ったまま微動だにしない店長さんを見て不安になって来た。
まさか上手く行かないなんてことが想像が出来なくて、他に何を言ったらOKの返事をもらえるのか考えていると
「は」
「……え」
「は、ははははっ、何、その変な告白!」
「……」
(変? 変って……どの辺が??)
突然笑い出した店長さんに戸惑う。
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