Episode01 店長さんと私

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「ごめん、前言撤回!」 「──え」 先刻まで握られていた掌がバッと離された。 「俺、歳上ダメ」 「は?」 いきなりの発言に頭が真っ白になった。 「俺、歳下しか付き合えない」 「なんで!」 「……なんでも」 ボソッと呟いた言葉がやけに心にズシッと重りを落とした。 「兎に角、話は以上。君がお客様として店に来てくれる分には歓迎するから、だから──」 「……ゃ」 「え」 「嫌!」 「!」 (そんなの嫌に決まっている!) 「付き合ってくれるって言った!」 「だから……それは」 「歳下しか付き合えないだなんてそんなの偏見!」 「……」 「そりゃ若い子の方が男はいいに決まっているとは思うけど、でもね、若い子だっていつまでも若いまんまじゃないんだから!」 「……別に若い子がいいという訳では」 「あなたが40、50になった時、30女だってあなたにとっては歳下の女の子になるでしょう?!」 「それは……そうだね」 「だったら! 歳下じゃないから、歳上だからダメっていうのは通じない!」 「……」 「付き合えない理由にはならないんだから!」 「……」 「だから私と付き合いなさい!」 「……はい」 「嫌だって言ったって私、絶対に諦めな──……え」 「……」 「今、はいって……」 「言ったよ」 「……いい、の?」 「よくはないけど」 「どっち」 「君、なんか全然歳上らしくないよね」 「へ?」 「言っていること、凄い幼稚で見た目と同じ中身っぽい」 「~~~それって絶対誉めていないわよね!」 「どうだろう」 「あのねぇ」 「好きにさせてみせてよ」 「え」 「そこまで言うならさ、君のことを好きにさせてみてよ」 「……」 「歳上と付き合うの、いいじゃんって思えるようにしてみせてよ」 「……」 (それってなんだか宣戦布告、みたいな?)
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