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「ごめん、前言撤回!」
「──え」
先刻まで握られていた掌がバッと離された。
「俺、歳上ダメ」
「は?」
いきなりの発言に頭が真っ白になった。
「俺、歳下しか付き合えない」
「なんで!」
「……なんでも」
ボソッと呟いた言葉がやけに心にズシッと重りを落とした。
「兎に角、話は以上。君がお客様として店に来てくれる分には歓迎するから、だから──」
「……ゃ」
「え」
「嫌!」
「!」
(そんなの嫌に決まっている!)
「付き合ってくれるって言った!」
「だから……それは」
「歳下しか付き合えないだなんてそんなの偏見!」
「……」
「そりゃ若い子の方が男はいいに決まっているとは思うけど、でもね、若い子だっていつまでも若いまんまじゃないんだから!」
「……別に若い子がいいという訳では」
「あなたが40、50になった時、30女だってあなたにとっては歳下の女の子になるでしょう?!」
「それは……そうだね」
「だったら! 歳下じゃないから、歳上だからダメっていうのは通じない!」
「……」
「付き合えない理由にはならないんだから!」
「……」
「だから私と付き合いなさい!」
「……はい」
「嫌だって言ったって私、絶対に諦めな──……え」
「……」
「今、はいって……」
「言ったよ」
「……いい、の?」
「よくはないけど」
「どっち」
「君、なんか全然歳上らしくないよね」
「へ?」
「言っていること、凄い幼稚で見た目と同じ中身っぽい」
「~~~それって絶対誉めていないわよね!」
「どうだろう」
「あのねぇ」
「好きにさせてみせてよ」
「え」
「そこまで言うならさ、君のことを好きにさせてみてよ」
「……」
「歳上と付き合うの、いいじゃんって思えるようにしてみせてよ」
「……」
(それってなんだか宣戦布告、みたいな?)
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