Episode01 店長さんと私

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私は化粧品売り場を後にしてブラブラと洋服や靴を見たりしていた。そして先刻までの芳香の反応を思い返していた。 (芳香が驚くのも無理ないよね) 高校の時からの友だちの芳香は私の男性遍歴を知っている。 芳香と一緒にいる時にも何度も告白されてその場で付き合うことを了承していた。でも全てが受け身の恋だった。 付き合うってもっと愉しいものなんだと思っていたのにどんな人と付き合ってもちっとも愉しくなくて、次第に愛想笑いすることも嫌になった。 そうしてお決まりのように一方的に別れを切り出す相手をただ黙って見送るだけだった。 別れを切り出されたその瞬間は寂しいと思った。いつも傍にいてくれる人がいなくなるのは寂しくて、その時は泣きたくなる気持ちが大きかった。 だけどすぐに別の人に告白される。 そうしたら寂しかったという気持ちは瞬く間に無くなって、これからはこの人が私の傍にいてくれるのだと思ったら大した考えもなく付き合うことを了承していた。 ──ずっとその繰り返しだった だけど年齢を重ねる毎にその頻度は少なくなって行き、寂しいと思う期間が長くなるようになった。 だけど今度の恋は今までとは違う。私が初めて好きになって付き合うことになった。 初めて自分から告白をして付き合う恋愛を始めたのだ。 (ふふふっ) 何故か今まで生きて来た人生の中で今が一番愉しいと思ってしまっていた。
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