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「何してるの? 今日は店、休みだって知──」
「会いたかった!」
「!」
「会いたかったからお店に来たの。だけど日曜休みだって知らなくて、それで電話したけど出なくてメールしたけど反応なくてどうしたんだろうって不安になって」
「電話? メール?」
「でもよかった……会えたぁ~~~」
「……」
「会いたいって……すごく会いたいって思ったら会えた」
「……」
「これって凄いね! 奇跡だね!」
「……えーっと、とりあえず店、入ろうか」
興奮冷めやらぬ私の言葉を遮って彼は大して表情を変えずに鍵を差し込んでドアを開けた。
通された店内は勿論誰もいなかった。昨夜とはまた違った印象が昼間の店内にはあった。
「本当だ、着信いっぱい」
持っていた荷物をカウンターに置きながら携帯を確認した彼が呟いた。
「ごめん。マナーモードにしていたから全然気が付かなかった」
「そっか、それじゃ気が付かなくて当たり前だね」
「……」
(よかった、それが理由だったんだ)
先刻まで感じていた不安な気持ちが嘘のように晴れて気分が良くなった。
「何処か買い物に行っていたの?」
「え……あぁ、日曜日はコーヒー豆の仕入れや店の備品の買い出しとかそういうのに割り当てているんだ」
「へぇ、日曜休みのカフェなんて初めてだったから驚いちゃった」
「……そっか」
私はカウンター席に座って彼が荷物から品物を出しているのをジッと見つめていた。
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