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(どうしたんだろう?)
突然言葉が止んだ彼のことが気になって湯船の中で半転して彼と向き合った。
「どうしたの、悠真くん」
「あー……うん」
「何か言い辛いことでもあるの?」
「……」
「悠真くん」
「……ちょっと俺らしくないこと、言ってもいい?」
「俺らしくないこと? そんなのないよ」
「え」
「悠真くんが語る言葉にらしくないなんていうの、ないから」
「……美兎ちゃん」
「で、何?」
話を促すように見つめると悠真くんも私を真っ直ぐに見つめた。
「美兎ちゃんは子ども、欲しいと思う?」
「──え」
その問いにドキッとした。
(子どもって……)
それは私が少し前に考えていたこと。父のことを思い出しているうちに、孫なんか出来た日には一体どんな孫馬鹿ぶりが発揮されるのだろう──なんて。
(いや、本当タイミング凄すぎ!)
少しだけ早くなっている胸の高鳴りを抑えるために自然と胸に手が行った。
「美兎ちゃん?」
「あ……あぁ、うん。子ども、ね」
思わず上擦った声が浴室内に響いた。
「結婚したからには避けては通れない話だと思うんだよね」
「……うん」
「今までしてこなかったのは美兎ちゃんからそういう雰囲気がなかったということもあったんだけど」
「……うん」
「よくよく考えれば美兎ちゃんには時間が限られているのかな──と」
「……へ」
なんだかほんの少し話の軸がズレた──? と思った私は思わず首を傾げた。
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