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「だってほら、女性が妊娠するには期間が限られているでしょう?」
「……」
「美兎ちゃんを見ていると時々忘れそうになるけど、本当はそんなにのんびりしていられる年齢じゃないよね」
「って、そういう意味?!」
「そういう意味。美兎ちゃんが子ども欲しいなら早めの方がいいんじゃないのかなとは考えている」
「~~~」
(た、確かに30だけど! 30になってしまったけれど!)
彼がそこを気にしていたのかと思うと少し居た堪れなかった。
「美兎ちゃん?」
「……あのさ、悠真くんはどう思っているの?」
「ん?」
今度は私が彼に訊いた。
「私の年齢のことは気にしないで、悠真くん自身、子どものことはどう思っているの?」
「……」
「それこそ私、知らないんだよね。悠真くんが子ども好きなのか嫌いなのかとか、自分の子どもが欲しいのかどうかって諸々」
「……」
「私のことを優先に考えないで、まず悠真くんの気持ちを訊かせて欲しい」
「……」
私の言葉に彼は口を閉ざした。視線は相変わらず私に真っ直ぐ向いていたけれど、先ほどまで能弁に語られていた口は今は閉ざされている。
(ひょっとして禁句、だったのかな)
私はまた何か彼を戸惑わせるようなことを言ってしまったのだろうかと身構えた。
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