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彼と子どもに関する話をしてから数か月後のある日。
閉店後の彼のお店に私と芳香、その旦那さんの明登くんが集まっていた。
「保育ルーム?」
「そう、子どもを預かる場所」
私の言葉に芳香は目を見開きながら前のめりになった。
「美兎がやるの? その保育ルームってやつ」
「うん。今から資格取って勤められるように準備しようと思って」
「えぇーどうしたの、突然」
芳香が訳が解らないといった風な顔をする。
(まぁ、当然かな)
私は彼と話して決めた将来設計を芳香と明登くんに話した。
「このお店の隣が先月空き店舗になってね、其処を借りて保育ルームとして運営しようと思うんだ」
「なんで保育ルーム?」
「これから私も芳香も子どもが出来るかもしれないでしょう? 小さい子を抱えながら働くのって大変じゃない。働くには子どもを何処かに預けないといけないわけだし」
「……だね」
「それを考えたら私、自分の子どもは自分で見たいなって思ったの。保育ルームだったらそれが出来るでしょう? 働きながら子育て。勿論自分の子ども以外の子も必要とあらば預かるよ。そのために必要な設備やスタッフも揃えてちゃんとしたいと思っている」
「うん」
「それと、子連れのお母さんがゆっくりとお茶を飲める時間があればいいなと思って悠真くんのお店に来るお母さんが連れて来た子どもを隣の保育ルームで預かるようにしようと思っているの」
「へぇ」
「短い時間かも知れないけれど自分だけの時間が持てたら気持ちにもゆとりが出来ると思うんだ。勿論、SOULAGERのお客さんが保育ルームを利用する時は無料にするつもり」
「えーいいじゃない、それ」
「でしょう? 芳香ならそう言ってくれると思った」
私の話に乗って来た芳香の様子を見て少しだけ口が軽くなった。
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