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「何?」
「明登はどう思う?」
「どう思うって、別に俺に訊かれていることじゃないから何も思わないけど」
「それってわたしの好きにしたらいいってこと?」
「そんなの当たり前でしょ。芳香の人生は芳香のものだし」
「……」
「芳香がやりたいならそれを俺は出来る範囲でサポートするだけ」
芳香と明登くんのやり取りを私は静かに見守っていた。
やがて芳香は明登くんから私へと視線を移した。
「いいね、それ」
「え」
「そういうこと、全然考えたことなかったけどそれ、いいかも」
「っていうことは」
「うん。わたしも美兎と一緒に勉強するよ」
「芳香!」
にっこり笑った芳香の言葉につられて私も笑顔になった。
「だけど勉強かぁ……大丈夫かな、わたし」
不意に芳香が不安そうな声を出した。
「それは私も同じ気持ちだよ。でもやってみなくちゃ分からないでしょう?」
「まぁ、確かにそうだよね」
「ふたりで頑張ろうよ」
「うん」
慣れない勉強に対する不安な気持ちがあった私は、芳香という同志を得たことでそれらが少しだけ緩和したのだった。
「そういうことなら保育ルームが出来た暁には俺の会社からも何人か人材を派遣するよ」
そういった明登くんに芳香が「頼りにしているわよ」なんて言いながら背中をバンバン叩いていた。
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