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こじんまりとした店内。座席はカウンターに5席と二人掛けテーブル席が6席ほど。木がふんだんに使われているカントリー風のシンプルな内装は好ましかった。
そんな中ひと際目立ったのはカウンター内、注文を取りに来た店員がいる奥の棚に並べられている膨大な数のカップ。
(めっちゃあるじゃん)
そんなことを思った時、後ろの席の女の子たちの会話が聞こえて来た。
「きゃあ、あたしって薔薇のイメージなの?」
「あぁ、確かに棘のあるところなんてピッタリかも」
「はぁ? 違うってーの。そういうあんたは何よ、それ」
「何ってチェック柄だけど」
「それってチェック柄好きから来てるんじゃないの?」
「え、なんで? なんでチェック柄が好きだって知ってるのよ」
「それじゃない? 携帯カバー」
「えぇー物理的イメージかぁ~~残念」
(……イメージ?)
訳の解らない会話に首を捻る。
何気ない仕草で後ろを振り返り見てみると、ふたりはカップを見ながら会話していた。
(カップでイメージ?)
ふたりの会話を受けて手元のカップを見てみた。
ミルクティーの入ったカップには有名なうさぎの絵が描かれていた。
(うさぎ………えっ!)
そこでハッと気が付いた。
(もしかしてこのお店って…!)
慌てて携帯を取り出してメールを打った。
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