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時間にして30分くらいだったと思う。
「お世話かけました」
「ううん、突然芳香を誘っちゃってごめんなさい」
「謝らないでよ。これに懲りずまた誘ってやって」
「了解。じゃあお願いね」
「うん。おやすみ」
酔った芳香を迎えに来るように連絡した人が既に眠ってしまった芳香をおんぶして駐車していた車に乗せた。そして走り去って行った車が見えなくなるまで手を振っていると──
「芳香さんって結婚していたんだ」
少し離れた処で様子を見ていた彼が私の隣にやって来た。
「そうなの。一年前に彼が大学卒業してすぐに」
「え、大学卒業って」
「旦那さん、芳香より8歳下なの」
「……」
「驚くよね。初めて訊いた人は大抵悠真くんみたいな驚き方するよ」
「いや……凄いね、色んな意味で」
「ね。芳香には芳香のドラマチックな恋愛があったんだなって羨ましく思うんだよ」
「……」
「でもまさか私まで歳下の人と付き合うことになるとは思わなかったけれど」
「類は友を呼ぶ、だね」
「別に芳香も私も歳下好きって訳じゃないよ。好きになった人がたまたま歳下だったってだけで」
「……」
「それよりごめんね、色々醜態をお見せしてしまって」
「醜態って、全然。それよりも美兎ちゃんはお酒強いんだね」
「そう? 今日はあんまり飲んでいないから」
「え……」
「何?」
「いや……強いって自覚ないんだなって」
「??」
(私、お酒、強いのかなぁ)
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