1726人が本棚に入れています
本棚に追加
バスルームに行き浴槽にお湯を溜めている間に鞄の中の携帯を取り出す。チカチカと鈍く光る着信を知らせるランプを見ると少し吐き気がした。
確認すると知っている名前、知らない名前が羅列しているメールを適当に読み流していると簡潔な文章が目に付いた。
【今日はありがとうございました。またお店にコーヒーを飲みに行きます。】
「……ってか、なんで敬語」
彼女という肩書になった女のメールを何度も読み返す。
そこにはやけに他人行儀な文章が鎮座していた。
「そういえば歳上だっけ」
あの見てくれではどうしても歳下にしか見えない。女子高生だといわれてもなんの疑問も持たないだろう。
(現に最初はそう思っていたし)
何人目の彼女だといえないくらい今までに深い付き合いから浅い付き合いまでして来た。そんな俺の前に急に現れた変な女。
『あなたのことが好きだから、だからあなたのことを好きになってもいい権利をください!』
妙な告白が興味を惹いた。今までにされたことのない告白が新鮮だったから少しぐらい付き合ってみてもいいかと思った。
出会った初日で告白して来た女だ。どうせ今までの様に俺の外見でいい寄って来た女に違いない。
「……」
いつもと同じ。いつも繰り返されるワンパターンな恋愛。
連れて歩くには自慢出来る容姿の俺が優しい紳士風情で甘い言葉を囁けばすぐに女は股を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!