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なんと声を掛けようかと考えていると──
「ごめんね、美兎ちゃん」
「え」
「みっともない場面に出くわせてしまって」
「……ううん」
掛けてくれた声音がいつも通りの優しいものになっていてホッと安堵した。
「先刻の、美兎ちゃんから告白された前日にフラれた元カノ」
「えっ、悠真くんがフラれたの?!」
「そう。大抵フラれるんだよね、俺の方が」
「嘘!」
(信じられない! てっきり悠真くんがフッてばかりいたと思っていたのに)
意外な事実を知ってまた驚いてしまった。
「俺、先刻の子に二股掛けられていたんだ」
「え」
立ち話もなんだからといつもの定食屋さんで夕飯を摂るために場所を移動した。
特に言い辛い様子もなく、淡々と先刻の彼女とのことを彼は話してくれた。
「店の常連の子だったんだけどしつこく誘って来るから付き合ったの。すぐに体の関係も持ったんだけどそれからすぐに他の人と結婚することになったからもう付き合えないって言われて」
「えぇ?!」
(ちょっと待って、どういうこと?!)
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