Episode01 店長さんと私

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「泣くのを堪えているように目を真っ赤に充血させていた」 「…!」 その言葉に、その仕草に胸がジンジンと痛んだ。 「悲しかったんでしょ?」 「……」 「彼のことが好きだったからフラれて悲しかった」 「……」 「そんな弱っているところに営業用の優しい接客を受けて勘違いしたってところでしょう?」 「……」 (営業用……優しい接客……) 店長さんが言っていることは正しい。おおまかな流れは間違っていない。だけどそれは── 「違います」 「え」 「彼のことが好きでフラれて悲しかったというのは間違いです」 「そうなの?」 「そうです。私が泣きそうに悲しかったのは、またひとりになるのかと思ったから」 「……」 「傍にいてくれる人がいなくなるのかと思ったら寂しくて悲しかった」 「……」 「それと、あなたのことを好きだと言ったのはあなたに運命的なものを感じたから」 「運命?」 「あなたは私の運命の人です!」 「……」 (あ、また) この短い時間で店長さんのにこやかな顔、驚いた顔、皮肉っぽい顔以外の、新しい表情を見た。 (なんかだんだん最初のイメージと違って来ている) それが嫌だとは思っていない。 寧ろこの人にはもっと色んな表情があるのだろうと、そう思ったらその全ての表情が見てみたいと思った。
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