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A「……、…………あの、」
B「ん、僕?」
A「こんな雪の降る小道に、私とあなた以外いますか?」
B「んー、いるかもね、家族を皆殺しにした少年の幽霊とか、男の娘なクラスメイトにときめいてる少年とか、はたまた不運な遭遇をしてしまう青年とかエトセトラ?」
A「……? よくわからないけど、まぁいいです。意味のわかんないことはなるべく考えないようにしてるので。で、あなたはなんで、さっきからそんなに私を見てるんですか?」
B「あー、それ気にしちゃうかぁ。いや、気になるよね、不躾に見つめてしまったものね。失礼しました、お嬢様」
A「畏まられても気持ち悪いですよ。私はただ純粋にあなたが私を見ていた理由を知りたいだけなんですから」
B「ふ~ん、じゃあ、君に訊こう。君はどうしてこんな寒い雪景色の中でカメラを構えてファインダーを覗いているのかな?」
A「……あ、えっと、なんというか。この、誰も、何も生きているものの気配がない、まっさらで真っ白な雪原がとても画になると思ったからです」
B「うんうん」
A「この景色はきっと、もう少し暖かくなったらなくなってしまうものです。雪が溶けたり、寒くなくなった動物たちが雪に足跡を付けてしまったり、きっと近所の子どもたちも遊びに出てきてしまいます。
もちろん、それはいいことです。賑やかなのは好きですから……。でも、やっぱりこの静かな景色を、私は残しておきたいんです。それには写真に撮るのが1番なのかな、って……」
B「なるほど、君はなかなかロマンチストさんなんだね。あぁ、僕にとってはそう聞こえる――っていうものだけど」
A「ロマンチスト、ですか? まぁ、それは別にいいんですけど、っていうかじゃあ、あなたはどうして私を見ていたか、今度はそっちを教えてくださいよ……、くしゅっ」
B「あぁ、大丈夫?」
A「うぅっ、寒いんで、私が風邪引く前にお願いします」
B「わかったよ、君はきっと僕が理由を言うまで帰らないだろうし。もしかしたら、最高の景色を撮り逃してしまうかも知れないからね♪」
A「ウインクとかしなくていいんで、早く教えてくれませんか? あの、めちゃくちゃ寒いんですけど。早く景色を撮って、帰ってホットココア飲みたいです」
B「僕も、君と同じだよ」
A「え?」
B「そんな君が画になる、と思ったからだよ」
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