恋愛ゲームの攻略法

12/16
前へ
/16ページ
次へ
「ねぇ、ちょっといいかな?」 「どうした?勇人?」 席を立ち。先ほどまで鬼塚の話をしていた男子生徒に近づいた。 「さっきの話。もっと詳しく聞かせてくれないかな?」 鬼塚の事を聞き出そうとする俺に、男子達は迷うように顔を見合わせている。 きっとこいつ等も、俺が鬼塚に関わることをあまりよく思っていないんだろう。それは仕方のない事だ。 だって俺は、男女問わず好かれている。だから心配してくれている。 「……勇人。お前もう、アイツとは……」 けれど。 それと同じように俺は、鬼塚が心配だから。 「頼む」 誰が何と言おうと、鬼塚に踏み込んでやる。 「……っ、分かったよ。そのかわり、無理するなよ?」 「あぁ。有難う」 ようやく聞き出せた情報を頼りに、俺は鬼塚が呼び出されたという場所に向かった。 そこは学校から大して離れてはいないが、人通りが少ない廃工場。夕方になると少し不気味で、あまり人が通る事は無い。 けどその場所に近づいた瞬間。大きな物音と怒鳴り声が聞こえた。 「まさかもう始まってたのか!」 急いで走る。 運よく倉庫のドアは開いていたが、中に入ると鬼塚は頭から血を流し。息も荒げて、ボロボロだった。     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加