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「ねぇ、ちょっといいかな?」
「どうした?勇人?」
席を立ち。先ほどまで鬼塚の話をしていた男子生徒に近づいた。
「さっきの話。もっと詳しく聞かせてくれないかな?」
鬼塚の事を聞き出そうとする俺に、男子達は迷うように顔を見合わせている。
きっとこいつ等も、俺が鬼塚に関わることをあまりよく思っていないんだろう。それは仕方のない事だ。
だって俺は、男女問わず好かれている。だから心配してくれている。
「……勇人。お前もう、アイツとは……」
けれど。
それと同じように俺は、鬼塚が心配だから。
「頼む」
誰が何と言おうと、鬼塚に踏み込んでやる。
「……っ、分かったよ。そのかわり、無理するなよ?」
「あぁ。有難う」
ようやく聞き出せた情報を頼りに、俺は鬼塚が呼び出されたという場所に向かった。
そこは学校から大して離れてはいないが、人通りが少ない廃工場。夕方になると少し不気味で、あまり人が通る事は無い。
けどその場所に近づいた瞬間。大きな物音と怒鳴り声が聞こえた。
「まさかもう始まってたのか!」
急いで走る。
運よく倉庫のドアは開いていたが、中に入ると鬼塚は頭から血を流し。息も荒げて、ボロボロだった。
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