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一体、あれからどのくらい経ったのだろう。
次に瞼を開けた時、俺は病院のベットの上にいた。
頭には包帯が巻かれており、腕には点滴が刺さっている。
真っ白な天井を見つめながら思ったのは、俺の身体の心配でも、時間でもなく。鬼塚の事。
「鬼塚は……無事なのか?」
「無事に決まってるだろう。俺を舐めるな」
「って、鬼塚!?」
「静かにしろ」
「あ、はい……」
まさか俺の横に当の本人が座っているとは思わなくて、流石に驚いた。
よく見ると額や頬に絆創膏はしてあるが、どうやら俺ほど酷くはなかったようだ。
って事は入院しているってわけじゃない。
じゃあこうして俺の隣で座っているのは、もしかするとお見舞い……というやつなのか?なんかリンゴとか置いてあるし。
「あ、あのさ鬼塚君」
「なんだ」
「もしかして、俺が起きるまでずっとここに居てくれたの?」
「あ?調子にのるな。だいたいテメェが割って入ってこなければ、俺がこうしてテメェなんかの様子を見て心配する必要もなかったんだよ」
「へぇ。心配してくれてたんだ」
「っ……」
口下手だから、嘘も下手で、つい墓穴掘っちゃうんだろうな。
なんか可愛い……。
「って、可愛いってなんだよ!」
「は?」
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