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「……気持ち悪い野郎だな。お前、神上勇人だろ。お前みたいな優等生お坊ちゃまが俺に何の用だ」
気絶している上級生を放置したまま、鬼塚はポケットに手を突っ込み、ただ俺を睨みつける。まるで威嚇する猛獣のようだ。
「まぁまぁ、そんなに警戒しないでよ。さっき言ったとおり。俺は鬼塚君と、お付き合いがしたいだけだよ?」
「チッ。んで、どこに付き合えばいいんだ?」
ん?
「え、なにそれ素で言ってんの?」
「は?」
「もしかして鬼塚君って……意外と天然?可愛いね!」
その瞬間。右耳から風を切るような音が俺の脳に危険信号を送った。
「ご、ごめん」
顔の真横にある拳が、もし顔面に当たっていたかと思うと冷や汗が流れる。
これは変に取り繕わない方がいいのかもしれない。
もっと積極的に、端的にーー。
「コホンッ。えっと……鬼塚君。君の事が好きです。俺と付き合ってくれませんか?」
「……は??」
返ってきた言葉には、さっきよりもクエスチョンマークが増えている気がした。
これ以上、どうハッキリ言えばいいというんですか。
まぁだが、こんなのは予想してた範囲内。
そりゃ全然接点なかったし、男同士だし。そんな奴に突然告白なんてされたら誰だって混乱して当たり前だよな。うん。
それに大事なのはこれからだ。
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