恋愛ゲームの攻略法

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最初はそう意気込んで、根拠もない自信と楽しさにはしゃいでいた。 けど。 「予想よりもはるかに難易度高い!!」 鬼塚に告白してから三か月ちょい。 桜が散った木には緑が生い茂り。外はセミの鳴き声と強い日差しが俺の肌を焦がす。 あれから俺は、積極的に鬼塚へアピールを続けていた。 昼休みは一緒にご飯を食べ、放課後はなるべく一緒に帰って、時には休みの日にまで押しかけた。 それなのに返ってくる言葉は「邪魔だ」「失せろ」「来るな」の三文字ばかり。 距離は縮まるどころか、未だ壁を作られている気がする。 「鬼塚攻略への道は遠いなぁ……」 まぁ、そもそも俺とアイツは真逆な存在で。しかも男同士。 そううまくいくわけはないと分かってはいるが……。 「あ、噂をすれば」 教室の窓から見えたのは、傷だらけにも関わらず平然とポケットに手を突っ込んで校内に入る鬼塚の姿。 「なんでアイツ、喧嘩ばっかしてんだろ」 この三か月で分かったけど、鬼塚は見た目の割にそこまで暴力的な事は好まない男だ。 誰かとぶつかったりとか、言われたりとかしても、基本怒らない。 意外な人見知りってとこもあるからだろうけど。 「ん?あれ?なんで俺、こんなに鬼塚に詳しくなってるんだ?」     
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