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その時。
錆びれたドアノブがガチャリと回る音が聞こえた。
「勇人!!」
屋上にはいつも鬼塚が居座ってる。だから屋上へ来る生徒と言えば、俺か、鬼塚へ喧嘩をふっかけてくる奴くらいしかいなかった。
けれど今回やってきた生徒は、よく俺とつるんでる三人の男子生徒だった。
「どうしたの?三人そろって」
俺と鬼塚から一歩引いた位置で立っている三人は、俺の言葉に不安と怒りに交じった声で静かに答える。
「「どうしたの?」じゃねぇよ」
「なぁ勇人。なんで鬼塚となんかと一緒にいるんだよ」
「……どうしてって」
確かにここ最近、皆の様子がおかしいとは思っていた。
どこかよそよそしいというか、どこか俺を心配するような目で見ていたような、そんな気はしていたが。
成程。そういうことだったのか。
「勇人君。君は優しいから鬼塚君と一緒にいるんだよね?」
「俺が……優しいから?」
「あぁ!いつも独りでいる鬼塚を気遣ってんだろ?そうだろ?じゃなきゃ、お前みたいな奴が、そんな奴と一緒にいるわけねぇんだ!」
その言葉に、胸がざわついた。
「勘違いするな」
「……え?」
鬼塚は、お前らが思ってるほどダメな奴じゃない。
確かに口が悪くて、うられた喧嘩にはすぐかってしまうけれど。本当に人を傷つけるような事はしない。
人を見た目で判断しないし、誰かの悪口だって言わない。しかも男の俺と目を合わせて会話できないくらい人見知りだし、あんな顔して意外と甘い物好きだったりする。
だいたい顔だってよく見ればイケメンな方だし、身体だって運動部並みに鍛えてあって、少し羨ましいくらいだ。
皆は誤解してる。鬼塚という人間を。
知ろうともしないくせに、噂と外見だけで勝手に判断するな。
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