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「私の宿す命が、貴方と私を繋いでくれます。有事なら、帝国再興の希望になれる。何事もなければ、王家の安泰に繋がります。それに私は、その子を愛おしんで生きられます」
寄り添う気持ちの強さを、感じたのかもしれない。言い出すと案外押しが強いのかもしれない。そして自分は、そんな彼女の全てが愛しいのだろう。
縋る背中を大切に抱いて、カールは一つ頷いた。本当に希望となってくれるのなら……彼女の幸せになってくれるのなら、構わない。今までだって、時を待っていたに過ぎないのだから。
「愛しているよ、デイジー」
「はい、陛下。私も、愛しています」
寄り添って、そっと交わした唇はこの夜初めて親愛ではなく、欲情を伝えていた。
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