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「勿論だ。だから、安心して行っておいで。何の憂いもなく、力を尽くしておいで。でも、忘れてはいけないよ。君の無事の帰りを待つ者が、ここにいる。君に何かがあれば悲しみに暮れる者がここにいるんだ。それだけは、忘れないで」
強く抱きしめてくる腕の中で、オリヴァーは頷いた。
胸を埋めた不安は、自然と落ち着いてくる。そして強く、アレックスを思う。ここに、帰ってくると。
「忘れません、絶対に。貴方の所へ、生きて戻ります」
「あぁ、頼むよ」
「はい!」
初めて、生きて戻らなければと強く思う。死んだら仕方がないではない強い意志が宿っていく。
その日の午後、アレックスに見送られてオリヴァーはバロッサへ向けて軍を走らせた。
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