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国には帰りたくない。けれど、国に戻るような事にはならない。騎士団を信じている。ボリスを、信じているから。
そこから先は軍事にも関わるという事で、円卓会議に招かれた……のだが、もの凄く威圧感が凄い。
カールの隣りに座るクラウルだけでかなりの圧がある。昔、子供の頃に見た彼は厳しそうではあったけれど、こんなに威圧的ではなかったのに。
カールの逆隣りには白髪の青年が座る。静かで綺麗な仕草の人はシウスと名乗った。エルの出なのは容易に分かる。表だった威圧感はないものの、研ぎ澄ましたものは感じた。
何より一番威圧感を纏っているのは、ファウストという黒髪長髪の人物だ。長身で、黒い隊服も相まって凄い。端正な顔立ちをしているのに、空気感が凄かった。
「大丈夫、そんなにビビらないでよ」
「え? あぁ、はい」
隣りに座るオスカルという人物だけは、ふわっと軽い空気を纏っている。気遣いもされて、だからこそこの場から逃げずにいられる感じがした。
「もぉ、皆怖い顔して。恋人達が心配なのは分かるけれどさ、お客さん怖がらせてどうするのさ」
……ん? 恋人?
「そういう訳ではない。現状の報告ということで、多少落ち着かぬだけぞ」
シウスが静かな声で言ったが、明らかに落ち着きはない。さっきからチラチラとフェオドールを見ている。
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