見捨てられた町ファラン

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「その予言は?」 「当たった。神子姫がその地に赴いて預言をした二日後、大雨で川の堰が切れてな。川沿いの一部や橋が流された。ただ、預言のおかげで人的な被害はなかった。それ以来、何処かに行ったとか、預言がとか聞かない」  ということは、そのナハルの町にまだ居る可能性がある。  これまで一ヶ月ごとに移動していたのは、隠しているアルブレヒトの居場所を特定されない為だと考えていい。となると、二ヶ月の滞在は異常になる。  何か、あったのだ。 「次の目的地は、ナハルか?」  ゼロスの言葉に、ランバートは頷いた。おそらくそこに、まだアルブレヒトはいるだろう。動けない状態になったか、あるいは…… 「ナハルか。あそこまでなら、こっから徒歩で十日くらい。チェルルが道を知ってるから、早ければ八日か」 「人質を解放し、できればすぐにその場を遠く離れたいのですが」 「なに、ナハルならむしろ容易い。人目に付かん場所に頃合いを見計らって船をつける。小型船だから隠れるのも容易いし、デカイ船は入れない。そして都合のいいことに、このナハルの町を通る川はそのままミロの大河に通じてる」     
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