神の告白(ラダ)

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「殴りたければ殴ればいい! でも、この人を傷つけさせはしない! この人が死んだら困るのは、貴方の上司ではないの!!」  ラダの言葉に男は振り上げた拳を振り下ろせずに震え、やがて部屋にある物を乱暴に蹴り飛ばして外へと出て行った。 「……ラダ」 「アルブレヒト様!」  弱い声が名を呼ぶ。それに振り向いたラダは熱い手を必死に握り絞めた。  アルブレヒトの力は、日に日に弱まっていった。本当はずっと体調が悪くて、移動も苦しそうだった。それに焦れた兵士の乱暴は日に日に酷くなり、ナハルの予言を最後に力尽きたように高熱を出して動けなくなってしまった。  数度、昏睡状態に陥ったが持ち直し、また深く眠って……その間も、熱はなかなか下がらない。今は薬で熱を下げているが、それでも下がりきらない。 「食事、持ってきます。食べて少しでも力をつけてください」  浮かび上がる涙を拭って笑い、ラダは置いた粥を取ってくる。そして少し匙に取り、上半身を起こさせたアルブレヒトの口に運んだ。 「んっ……っ」  いつからか、苦しそうに食事をするようになった。それでも、今日は食べられている。ゆっくり、冷めてしまった粥を運ぶ。だがそれも、三口も食べれば具合を悪くして体を折り曲げ、咽せるように咳き込んで吐き戻してしまう。  もうこの状態が、四日続いている。     
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