第1章茜空

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「あ、あの助けてくれて有り難うございました。」 「別にあなたを助けた訳ではありません。大声だと迷惑だからです。」 (…うっ。そりゃそうだけどそんな言い方しなくても良いじゃん…。) まあ、ごもっともだけど。 その時、隙間からキャンバスに描かれている空の絵が見えた。 「あ!ねえ!それ先生が描いたの!?」 思わず興奮しあたしは栗原に聞いた。 だってあまりにも綺麗な絵だったから。 「!!」 その時、栗原が驚いている目がメガネから見えた。 「…違います。」 ちょっと間を空け、栗原が口を開いた。 (あ、図星だ、これ。) ごまかしている様だけどバレバレだ。 「先生って嘘下手だよねー。」 「なっ!?」 「顔、真っ赤だよ?」 その時、栗原が慌てた様子を見せた。 「嘘だってー。」 「なっ!?」 「ははは!先生おもしろー!」 「…まったく君は…。大人をからかうな。」 そう言って、ちょっと顔が怒っていた。 でもどちらというと、本気で怒っているようには見えなかった。 素の栗原が見れた気がした。 「あはは!先生可愛い~!」 「…やめなさい。」 栗原の知らない一面を知って、ふと可愛いとその日は思ってしまった。
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