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「奏はお父さんに似て、何でも上手に出来る子ねぇ」
「お前は俺の全てを受け継ぐ男だ」
その褒め言葉に毎度浮かんだ疑問。
「律と響は?」
それをぶつけた事に悪意など微塵も無かった。
けれど、そんな子供ながらの純真は、二人の嫌悪を如実に描いた表情に穢されていった。
「貴方はあの子達とは違うわ。
生まれは一緒でも、作りは似ても似つかないのよ」
「アレは踏みつける価値も無い塵だ。そう思え」
積もる言葉は雪の如く純白に映えるものでなく、灰の如くどす黒く虚を映えさせた言葉だっだ。
そんな蔑みに目を瞑り、生き長らえた時間は己どころか大事な人間すらも歪ませた。
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