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男が私の髪の匂いを嗅ぐのが分かった。
首筋にふ、ふ、と短く息を吹き掛けてくる。
それがとても気持ちが良かった。
「~駅~~駅~」
ガーっと扉が開く。
人が雪崩のように降りて行く。
私は、位置を移動した。
手すりとドアの三角の部分に、しっかりと捕まった。
また人が、雪崩のように入ってくる。
『これで、もうこないだろう…』
私は安堵のため息をついた。
ぷしゅーー
電車が発車する音がした。
ぎゅうぎゅう詰めも、更に最高潮になっていた。
その時…
すり…
混雑の中から、どのように出てきたのか分からない指が、私の右胸を触っていた。
『嘘…』
どくん…
また動悸が始まった。
手すりに捕まる右手の下から、指は延びて、ちょうど死角になっている胸を柔らかく撫でた。
すり…すり…
ブラウスの下に隠れているブラジャーの、一番尖っている部分、そこを執拗に撫でてくる。
そして、ぐい、と股間がお尻に押し付けられた。
…同じ人だ。
股間の硬さ、形をはっきりと覚えている自分が嫌だった。
右の首筋にふーっ…と息を吹き掛けられると、きゅー…っと右の乳首が立つのが分かった。
それを逃さず、立ち上がった乳首に指を這わせて来た。
『ああ…』
吐息が漏れた。
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