指先

1/11
前へ
/20ページ
次へ

指先

鞄を持っていた左手の脇から、指が延びてきた。 左胸に、指が這う… 左の乳首はそれを待っていたかのように、そそり立っていた。 途端につんざくような快感が脳髄を刺激した。 『何…これ』 両方の乳首をきゅーと擦られると、股間に温かい何かが滴るような感覚が起きた。 イヤ…気持ち…いい ぶるぶると震えているのは、もう怖いからではなかった。 乳首からのつんざくような刺激に、自分の身体が反応している。 嫌悪感を感じなからも、快感に身を任せていく自分がいた。 『あ…あ…』 ゴーっ… トンネルだ。音が聞こえない。 がっつりと私のお尻に股間を押し付けている男が、耳もとで囁いた。 『気持ち良さそう…かわいいね』 ぶるっ…と全身が震えた。 『もっとよくしてあげるよ』 意外な声をしていた。 若そうな声。 もっと、おじさんかと思っていた。 30台位の声に聴こえる。 トンネルが終わると、タタン…タタン…と、電車が進む単調な音がした。 指先は、スカートの中に入っていた。 そう… 恥骨から、パンティの中に手が入っていた。手すり側に、眼鏡をかけた凛々しい顔の会社員らしきスーツの男が立っている。 交差するように、私自身が影になって他のひとからは手元が見えなくなっていた。     
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加