お正月

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・:*:・:・:・:*:・ 1月3日(木) 10時半。 ─── ピンポーン ♪ 私が階段を駆け下りると、玄関から母の声が聞こえた。 「あら、ゆうくん、いらっしゃい。」 「明けましておめでとうございます。 本日は家族水入らずでお過ごしの所へ お邪魔して、申し訳ありません。」 私が玄関に着くと、ゆうくんが母に挨拶をしている所だった。 「どうぞ、上がって。」 母がスリッパを差し出すと、 「お邪魔します。」 と言って、ゆうくんは私を見て微笑んだ。 リビングに通されたゆうくんは、父の体面(といめん)にあるソファの前に立った。 「皆さまのお口に合うかどうか分かりませんが、 奏さんの好きな水無月堂の苺大福です。 よろしければ、お召し上がりください。」 そう言って、紙袋の中の菓子折りをローテーブルの上に置いたゆうくんは、それはそれは凛々しくて、私が初めて見る姿だった。 無言の父を横目に、空気を読んだ母が、割って入る。 「まあまあ、わざわざありがとう。 せっかくだから、みんなで今いただき ましょうね。」 そう言って、菓子折りを持って、キッチンへ行った。 立ったままのゆうくんに父がようやく、 「まあ、掛けなさい。」 と声を掛けて、 「はい。失礼します。」 とゆうくんはソファに腰掛けた。 何とも言えない緊張した空気が張り詰める中、律が2階から下りて来た。 「ゆうにぃ、久しぶり~。」 1人、にこにこしてる律に目を向けたゆうくんは、にっこりと笑って、 「律、久しぶり。結婚するんだって? おめでとう。」 と言った。 「うん、ありがとう。ゆうにぃは? もしかして、ねぇちゃんと付き合ってんの?」 ピキーンと空気が凍る音がした…気がする。 お茶と苺大福を持ってきた母が、 「律! 何ですか! 藪から棒に! とりあえず、お茶でも飲んで、ゆっくりして いってね。」 と空気を溶かしてくれた。
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