お正月

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「はい。ありがとうございます。 でも、今日は、律くんがおっしゃった件で、 ご挨拶に伺ったので、話(はな)させて いただいてもいいですか?」 無言の父を肯定と判断して、更に言葉を続ける。 「今日は、奏さんとお付き合いをさせて いただきたく、ご挨拶に伺いました。 もちろん、将来を見据えて、真剣なお付き 合いをさせていただくつもりですし、奏さんを 必ず幸せにしたいと考えています。」 ゆうくんは、真剣な表情で父を見ていた。 父は、ようやく、口を開いた。 「奏は、私の宝物だ。 壊れ物なので、大切にしてやってください。」 お父さん…… 「はい。必ず大切にします。」 そう答えたゆうくんは、私を見て優しく微笑んだ。 「あーぁ、ゆうにぃ、かっけぇなぁ。 オレ、涼んちで、そんな堂々と挨拶でき なかったよ。 まぁ、デキ婚で向こうの親が激怒してたのも あるけど…。」 なぜか、律がブツクサ言う。 「ねぇちゃん、大丈夫? ゆうにぃ、めっちゃモテるんだよ。 捨てられて泣くなよ?」 「律!! そんな事、あんたに言われなくても知ってる わよ!」 私がムキになって怒ると、ゆうくんが割って入った。 「律、大丈夫だよ。 俺には、奏しかいないんだから。 それより、律はしらないだろ? 奏は俺なんかより、ずっとモテるんだぞ。 捨てられたらどうしようって、毎日ドキドキ してるのは、俺の方だ。」 っ!! ゆうくん、忘れてない? 今、私の両親も聞いてるんだけど!? 「ねぇちゃん、顔、真っ赤だぞ。」 律に言われて、私は慌てて両手を頬に当てて隠した。 「ふふふ。 奏、良かったわね。 こんなに愛されて。」 母に言われて、私はますます顔を赤くした。 母は、ゆうくんを昼食に誘ったが、丁重にお断りをして、私たちはマンションに戻った。
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