お正月

9/10
前へ
/97ページ
次へ
脱衣所に行くと、綺麗に畳まれたバスタオルが用意してあった。 こんな些細な事に嬉しくなり、私はご機嫌でシャワーを浴びて、ゆうくんの元へ戻った。 「あ、ドライヤー出してなかったね。」 バスタオルで髪を拭く私を見て、ゆうくんがドライヤーを持ってきてくれた。 ゆうくんは、ダイニングの椅子を部屋の真ん中に置くと、 「座って。」 と背もたれをトントンと叩いた。 私がそこに座ると、ゆうくんはドライヤーで髪を乾かしてくれる。 髪を触ってもらうのは、とても気持ちいい。 うっとりしながら、腰まである長い髪を乾かしてもらい、また幸せな気分に浸った。 「ご飯食べよ。」 ドライヤーを片付けながら、ゆうくんが言った。 「うん。」 ゆうくんが焼いてくれたポークソテーを食べながら、私は、幸せ過ぎて、また不安がよぎった。 こんな幸せが、永遠に続けばいいのに… と思っていたら、食後、私はまたゆうくんにベッドルームへと誘拐されてしまった。 ・:*:・:・:・:*:・ 1月4日(金) 6時。 外ははまだ暗いが、ほんのりついた灯りが、ゆうくんちである事を教えてくれた。 今日から仕事始め。 帰って、着替えなきゃ。 ゆうくんに背を向けて、ベッドから、そっと抜け出そうとすると、後ろからゆうくんに、ぎゅっと抱きしめられた。     
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1119人が本棚に入れています
本棚に追加