お正月

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「ゆうくん?」 「奏、おはよう。」 「おはよ。」 ゆうくんは、それ以上動く気配がない。 「ゆうくん? 今日から、仕事でしょ?」 「ヤダ。」 「ぷっ」 ヤダって…… 子供みたいな反応に思わず、笑ってしまった。 「ゆうくん、離して。 これじゃ、ゆうくんの顔も見れない。」 そう言うと、ずっとゆうくんの腕が緩んだ。 私は、ゆうくんの方に向き直ると、ゆうくんが私を見て言った。 「ずっと、こうしてたい。」 「うん。」 私はゆうくんの胸に顔を埋めて、ゆうくんをぎゅっと抱きしめた。 「でも、仕事はいかなきゃ。 1日がんばったら、明日、休みでしょ?」 「あーぁ。 仕方ないなぁ。」 そう言うと、ようやくゆうくんは、私を解放してくれた。 「奏。 先、シャワー浴びて来て。」 「ゆうくん、先でいいよ。 ゆうくんの方が出勤時刻が早いんだから。」 「じゃあ、一緒に。」 「ダメ!」 「くくくっ」 2人で笑う。 とっても幸せ。 そんな事をしていたから、私たちは遅刻ギリギリで慌てて出勤した。
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