待ち伏せ

9/10
1115人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
見受けますが、あなたは好きな女性を困らせて 平気なんですか?」 ゆうくんの指摘にヒロはたじろいで見えた。 「今、奏と付き合ってるのは、私です。 私個人としては、交際期間の長さは、想いの 深さとは比例しないと思うのですが、 まあ、しかし、あなたがそれを重要視したい のであれば、私から言わせると、たかが3年 付き合った位で奏の何が分かる?と思います けどね。 私は20年以上、彼女を想い続けてますから。」 ゆうくんは、なおも続けた。 「あなたは、結婚の約束をしたとおっしゃい ましたが、私は奏の両親に挨拶をして、結婚を 前提とした交際に快く了承をいただいてます。 何より…」 ゆうくんは語気を荒げた。 「奏が今愛してるのは、俺だけだ!」 ゆうくんは、怒りを露わにヒロを見下ろしている。 ヒロは座ったまま、うなだれていた。 「ヒロ? ほんとにごめんね。 でも、ありがとう。 気持ちは嬉しかったよ。 裏切られたと思ってたから、そうじゃない って分かって嬉しかった。 体に気をつけて、どうか幸せになって。」 私がそう言うと、ゆうくんは私の腕を取って立たせた。 「奏、行くぞ!」 「うん。 ヒロ、ほんとに体には気をつけて。 ヒロの幸せを祈ってるから。」 そう言って、ゆうくんに引きずられるように店を後にした。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!