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どうぞ、とは言ったものの、ゆうくんは、あまり嬉しそうじゃない。
「こんにちは。」
童顔なのか、20歳位に見える男の子が、ニコニコと私に挨拶をしてくれる。
「こんにちは。」
と私も挨拶を返すと、
「綺麗な人ですねー。
ね、課長?」
とゆうくんを見る。
ゆうくんは無言だ。
「どちらの部署の方ですか?
今度、飲みに行きましょうよ。」
とても人なつっこい。
「え? あの… 」
私が返事に詰まっていると、なおも畳み掛ける。
「あ、僕、5階にいます池沢 瑠偉(いけざわ
るい)っていいます。
連絡先、教えてもらえませんか?」
私が、ゆうくんをチラッと見ると、
「池沢ぁ
社食でナンパするな!」
とゆうくんが言った。
「えぇ!?
でも、今、聞かなかったら、次、いつ会えるか
分かんないじゃないですか?」
すると、池沢くんではない方の男の子が、気づいた。
「池沢、諦めろ。」
「なんで!?」
「彼女と課長の弁当、中身一緒だぞ。」
池沢くんは、私たちのお弁当箱を見比べる。
私は自分の顔が赤くなるのが分かった。
でも、ゆうくんはなんだか、とても満足気だ。
「えぇ~!?
もしかして、課長の彼女さんですか?」
割とよく通る彼の声が、周囲の視線を集める。
「そうだよ。」
ゆうくんが認めると、私はいたたまれなくなって、赤い顔のまま、俯いた。
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